ブログへの掲載が数週間遅れてしまいましたが、今回は10月14日にスティービー・ワンダーのライブに参加したお仕事の事を書こうと思います。普段はクラシック音楽の仕事が中心の活動ですが、たまにいつもと違った仕事が巡ってくる事があります。約一昨年にニューヨークでスポーツやライブ会場として名門のマディソンスクエアガーデン(東京の会場に例えると武道館ライブ?)にてSongs In The Key Of Lifeツアーを皮切りした際にも参加しました。今回はマンハッタンからハドソン川をわたったニュージャージーのプルーデンシャルセンターでのライブでした。
スティービーのバンドは基本的にずっとツアーで全国を回るのですが、ストリングスは各地域で地元の演奏者を雇用します。どうやってこういう仕事と巡り会えるかというと、とにかく「運」です。色々なミュージシャンとコネクションを持ち、運が良いとこういう面白い仕事があり、ナマでスゴイ有名人をステージを共に出来てラッキー☆
自分は特にミーハーではないと思うのですが、スティービーは音楽家として本当に凄いと思います。素晴らしい歌手なだけではなく、盲目でピアノ、キーボード、ハーモニカ等など様々な楽器を弾き熟し、観客を飽きさせません。演奏はクラシックと違い、ジャズのようにアドリブが入り、同じステージ上に座り、近くでそのエネルギーを感じると興奮します!
ストリングスは全曲演奏する訳ではなく、数曲だけ参加します。スティービーファンの方ならきっとご存知の"Village Ghetto Land"はもちろん、その他"Pastime Paradise", "Isn't She Lovely"等の楽曲で演奏参加しました。
華やかなイメージのスティービーですが、今日のアメリカ国内の公立学校内における乏しい音楽教育にも敏感でこんな事を話されました。ビデオをご覧ください。
要訳するとスティービーが話しているのはこんな内容の事です。
「この国(アメリカ)においてたくさんの政治家が現代の子供達をどうやって助けられるか?と問いかける。答えは簡単。(これまでに削られた)音楽・芸術教育を学校にまた持って来れば良いだけの事だ。音楽教育を学校に取り戻して子供達に自分を表現する道具/方法を与えなければ行けない。」
私はニューヨーク市内の公立小学校でバイオリンを教えているのでこの言葉、本当に感激しました。現在、ニューヨーク市内のたくさんの公立学校にはフルタイムで働く音楽教師がいません。私も一つの学校に週2回教えに行くだけです。しかも、バイオリンの授業は一度に大勢教えられないので各学年から12人しか教えられません。学校にもっと音楽教育にかけられる資金があればきっと全員が参加出来るのでしょうが、そういうお金が各学校に回ってこないのです。カリスマのあるスティービーのようなミュージシャンやアーティストにこのメッセージを広める活動を頑張ってもらって、いつか公立の学校教育に完全な音楽教育の復活がある事を願いつつ、私は私の出来る範囲でコツコツ小さなバイオリニスト達を育んで行きたいと思います。