先日、ジャズ作曲家でピアニスト、そしてまたライターでもある友人の宮嶋みぎわさんのスペシャルライブを見に行く機会がありました。みぎわさんとは2014年にウィークリービズ紙さんでこちらの記事の取材・作成をしていただいたことががきっかけで知り合いました。それ以来数回ほど当教室の記事を書いてくださっています。みぎわさんが書いてくださる記事は新聞で許されている限られた文字数の中でしっかり私が伝えたいと思っているメッセージを簡潔にまとめてくださるので大変嬉しいです。彼女の音楽や、音楽教育に対する理解力の深さもそんな記事のできにつながっているのかもしれません。
日本でしっかり仕事をしてキャリアをのばしていた彼女ですが、30代後半に思い切って渡米。ニューヨークで本格的にジャズ作曲の勉強を初め、5年が経ちました。コツコツと勉強をしてきたそんな彼女は近々CDを作成するということで、それに先駆け、新曲とバンドの紹介を兼ねたライブが先日ニューヨークの大御所ジャズクラブ、バードランドにて開催されました。
私は普段、自分の演奏活動で忙しいため、他の人のコンサートに行く機会はあまりありませんし、ジャズを聞きに行くことは更にまれなのですが今回はとっても楽しめました。みぎわさんの温かい人柄が染み出るライブ。8月にレコーディングをしてCDを出すそうですから発売になった際には皆さんどうぞお買い求めください!
ちなみに久々にジャズライブを見に行って少し考えたことがあります。『ジャズミュージシャンってあんなにアドリブできてすごいなー』と。ジャズは基本のメロディと和音(コード)進行が作曲されていて、バンドメンバーが順番にソロを演奏するのですが、そのソロは楽譜に書き出されていません。その曲のコード進行に乗っ取り、演奏しているその場で自分の感性やテクニックを使ってソロを作り上げます。クラシックの音楽家は全く違う訓練を受けているので、なんかテキトウに弾いてよ!と言われるととても困ってしまうのです。
クラシックでは数百年前に作曲された音楽を、作曲家が楽譜に記したとおり、正確に演奏することが重要です。楽譜に書かれているテンポ記号、音符や音符の長さ、強弱、リズムなどなど、全てをしっかり見て正しく演奏することを訓練します。それがだんだんできるようになったら初見で正しく弾けるように訓練します。仕事をしだすと、職場でぽんっと出された楽譜でもその場で正しくすべてを弾くことを要されることもあります。
ジャズミュージシャンからは逆に『クラシックミュージシャンって楽譜をきちんと読めてすごいなー!』なんて言われることがあるので、ジャンルによって目標が違い、演奏者のトレーニング方法が違うというだけのことなのかな、と思います。同じ音楽ですが、目標と訓練法が違うだけで生み出される音楽家の強みがこれほど違うというのは面白いことだな、と思いました。