コラム 〜第14回〜 『発表会に出る大切さ』

発表会の季節が迫ってきました。こちら欧米では学校の年度が6月に終了となるため、夏休み前に多くの音楽教室で「End of Year Concert」などと題して、生徒たちの1年間の練習の成果を発表する会が催されます。

当バイオリン教室でも5月に発表会を予定しており、生徒たちはそれに向かって一生懸命練習に励んでいます。今回は、お子さんが発表会に出ることの大切さについてお話ししてみようと思います。

私が子どもだった頃、発表会は毎回とても緊張して心臓がバクバクした覚えがあります。新しい発表会用の服と靴を買い揃え、そこで披露する曲を何週間も練習し、磨きあげました。楽しみな反面、緊張とストレスが伴い、二つの気持ちが入り混じった子どもの頃の思い出ですが、演奏が終わった後は達成感を感じました。

発表会は一人一人のお子さんがステージに立ち、脚光を浴びて輝ける場です。楽器を習得するにあたって、このような特別な場を定期的に設けてあげることはとても大切。普段のレッスンとは違う、特別なステージに立ち、日頃の練習の成果を家族や、お友達に見せるということは、いつも以上に丁寧な練習や準備、そして集中力を要します。発表会を目標に、計画的に練習する過程も経験の一つ。時間をかけて、ていねいに磨きあげた1曲をお客さんのために披露すると自信もつきます。

また、発表会はお友達の演奏を聞くことができる場でもあるため、お互いの長所や短所から何かを見習う機会にもなります。特に、小さなお子さんが大きなお兄さん、お姉さんの演奏を見て受ける影響は非常に大きく、「あんな風に弾けるようになりたい!」と、目標になったりもします。子どもにとっては洗練されたプロの大人の演奏を見るよりも、年の近いお兄さん・お姉さんの演奏の方が、より憧れの対象になるようです。

お父さん、お母さんをはじめ、ご家族、保護者の方にとって、発表会はお子さんの成長の節目を見られる機会ですね。毎日の練習を一緒にやってみていると、あまり大きな進歩を感じられないかもしれませんが、晴れの舞台に立つ我が子を見れば、前回の発表会からどんなに成長したか一目瞭然となるはずです。

先生は生徒さんたちの準備を冷静に見守りながらも、実は少し緊張してハラハラ、ドキドキ、。でも楽しみな気持ちが入り混じった発表会。一人一人の子どもたちが自分の一番良い演奏をできるよう、レッスン時の微妙な押し加減で本番へ持っていく応援をします。本番に強い子、普段以上に素晴らしい演奏をする子、緊張する子、などなど―。日頃のレッスンでは見られない一面を見る事ができ、発表会は生徒たちのこの先の課題を考えることへもつながります。

年度末のこの時期、様々な子どものイベントが行われ、忙しい時ではありますが、発表会も家族そろって楽しんでください!

 

*このコラムはニューヨーク・ウィークリー・ビズ紙さんのオンライン版に掲載されました。