オンライン発表会

3月から様々なイベントやお店が閉鎖されたニューヨーク。6ヶ月経ちましたが未だに普通の生活には程遠い状態です。コンサート会場はもちろんのこと、レストランも屋外でしか飲食できません。スーパーも店によっては入場制限が続いており、店内や地下鉄、バスではマスク必須。

そんな中、オンラインでレッスンを続けてきた生徒さんたちに発表の場を設けたいと思い、Zoomというアプリを利用して行いました。こちらアメリカでは3月の閉鎖が始まってからもうお馴染みのZoomは会社の会議、学校の授業、家族・友達とのビデオチャットなどに幅広く利用されています。

Zoomの良い面は大勢の参加者で一斉にビデオチャットができることです。しかし音楽のレッスンや演奏に利用するには音声に少し問題があります。一人ずつしか一度に音声を発せられないのです。そのためアンサンブルはもちろんのこと、ナマで伴奏者と共演もとても無理なのです。でもヴィヴァルディのコンチェルトなどを伴奏なしで演奏するのはさびしいので解決策を考えました。事前にピアニストにお願いして伴奏パートを録音していただき、発表会では生徒さんがカラオケのような形で演奏するという方法です。簡単に聞こえますが、音楽的にテンポをゆるませたり、早めたり、微妙な間を取りたいところなどあるのであまりシンプルなプロセスではありません。そのため一度録音していただいた伴奏パートを使ってレッスンし、うまく合わない部分の微妙な変更をお願いし、それから再び録音していただくというプロセスを経てようやく発表会で使える録音伴奏を制作していただきました。

英語では一緒に音楽を奏でることを “Music making” と表現しますが、そのとおり音楽は息を合わせて一緒に楽しみ、演奏するものです。ですからその日の気分によっては弾き方をちょっと変えたり、間の取り方をちょっと変えるなどして共演者と息と目で直接コミュニケーションをとりながらアンサンブルします。それが生演奏の魅力ですね。事前に録音された伴奏パートと弾くのはちょっと残念な上、それなりに難しいのですが、閉鎖の続くニューヨークでは仕方のないこと。現在の状況下で精一杯の発表会を終えることができました!